遊びと学びの章

遊ぶこと

「あまり遊ぶ時間はなかった?」 「そうでもないぞん、遊ぶときは十分遊ん だもんだ。
学校から帰るとすぐお寺の門前 へ集まってメンコ ゴムカン カッポン ポケ チャンバラ 竹馬 杉玉鉄砲 陣取り 釘刺し コマ回し それに椋の大木に登り 暗くなるまで本を読んだり…… なんだか金のかからんもんばっかりだなぁ。
凧だって竹を削ったひごに、紙を張って新聞 紙のしっぼをくっ付けた、不細工なものだったし、 女の子も端切れの布を、縫いあわせてお手玉を 作っていたっけ。
女の子の遊びはよう知らんが、 晴れた日は、外で毬つき ゴムとび かくれんぼを していたかなぁ。
雨の日や寒い日は家の中で 遊んでおったが、一人ぼっちの時は編み物や紙 の着せ替え人形。
二人になればあやとり、おは じき。
もっと友達が揃えば、ままごとなどその 時に応じて色々と遊びも変わっておったなぁ。
やっと買ってもらったカルタや双六、羽子板 などはお正月だからという特別のお年玉だった。
そうそう、ソフトボールだってやったぞん。
木を削った棒バットとカチン玉を芯にして布を 巻き縫い合せたボールでのう。
力の強い上級生が打つとカチンといい音がし て、わしの頭の上を高く越えて飛んでいった。
草っ原を転がっていくボールを追いかけていく と、縫い目がほころびボロボロ。
試合を中断して慌てて針と糸で縫う…… 滑稽なようじゃが、みんなまじめな顔をして 試合が再開するのを待っておったぞ」 れば遊べないと思っている今とは大違いね」 「金が無くても、物が無くても遊びはできる。
友達がいて、自然の遊び場があって、楽し む心さえ持っていればね。
ボンツクはそんな遊びだった」

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