おしょろいさん(盆行事)

盆が近づくと、お寺さんはもちろんのこと、家々の縁側で線香の煙りにく すんだ仏具みがきが、忙しくなされます。
"燭台""チンワンワン"などが強い夏の日差しを受けてピカピカに輝いてきます。 "おしょろいさん"を迎える準備なのです。
八月十三日の夕方"瓦"の上で、エビ型に束ねたワラに迎え火が焚かれます。 この家のご先祖さまに、お迎えの準備ができたことを知らせるのです。 そして、ご先祖さまは登る煙りを目印に、一年一度の里帰りをなさるのです。 仏壇にはそうめんなどが供えられ、盆提灯に火が入ります。
県外などに移り住んでいる親類縁者も、盆休みを利用して帰省しており、 懐かしい顔が揃い、賑やかさを増します。
家族みんなで、ご先祖さまに、日頃の加護と今有ることを感謝し、お参りがなされます。
十四日には、おはぎやスイカなど自家料理でお供えをし、お寺さんと共にご先祖さまを偲んで、 生前の昔話に花を咲かせます。
十五日にはナスと麻の茎で作ったお馬で、"おしょろいさん"はお帰りの支度をなさるため、 町へ買物に出られます。
明けて十六日、ワラで作った舟に、ハスの葉に包まれた供え物やお土産、そしてナスの お馬を積み込んで、ローソクと線香を立て、逢妻女川あいづまめがわの流れに乗せます。 家族一同の無事と来年の逢瀬を誓い合いながら"おしょろいさん"が流れに 消えるまでお見送りするのです。

おしょろいさん→御聖霊位さん
瓦→三途の河原
がその語源かと思われます。

目次次へ